はじめに
芝居のレッスンを受けた時や外郎売りのレッスンの時に全部暗記をして挑むということが当たり前だったから、暗記したほうがアフレコもうまくいくんじゃないの?
暗記してたほうがやりやすいしと思う人もいると思います。
しかし、朗読、アフレコ、吹き替えの仕事の時にみんな台本を持っていますよね。一人だけ台本を持っていないという人はいないはずです。
台本をもらった時に初見で挑むことはしてはいけないですし、自分のキャラクターの出る場所や台詞に関しては頭に入れておくのは間違いではありません。
なら舞台と同じように全部覚えておいたら気にすることも減るし芝居に集中できるのではと思うかもしれませんが、実は舞台のように完全に覚えて何度も稽古して作品にするものと違って、それよりもさらにリアルな芝居を追求するために台本があるのです。
人にもよりますが台本を全て暗記してマイクの前に立って芝居をすると、リアリティが失われてしまうということは実際にあるのです。舞台とは違う芝居のリアリティを出すためにどうして暗記を進めないのかを興味がある人は最後まで見て参考にしてください。
アフレコは暗記推奨ではないのはなぜ?
①舞台では台詞を暗記しているけれどアフレコは違う
まず、暗記をすることは間違っているということを言っているわけではありません。先ほども書きましたが自分のキャラクターの台詞を暗記するほどきちんと練習して挑むことは大事で覚えていてもいいのです。
ですが台本を全て覚えてしまった人の芝居はどのタイミングで何が来てどういう芝居をするというのが決まっていることが多いのです。実際に全て暗記して台本を持たずに芝居をしている人を見たことがありましたが、台本がないぶん体が自由なのにマイクや絵の動きに少し縛られているようでした。
舞台だったらのびのび体全体使って表現できるのにマイク前だと台本があったほうがやりやすいと感じたようで結局その人も台本を持って収録をするようになりました。
舞台では全員が台本を覚えていてそれぞれ稽古したタイミングが舞台の上で繰り広げられます。しかし、アニメーションや吹き替えでは、自分ではなくアニメキャラクターや俳優、女優の人の芝居に自分が合わせなくてはなりません。
舞台では芝居に集中しますが、声を吹き込む時にはその相手の行動や話し方に集中するので自分から発信するのとは少し違います。
そのことから台本を持って台本の支えもありすぐにいろんなことに対応するためにも使われているのです。
②暗記をすると役より役者の存在のほうが強くなりがち
人の芝居のやり方にもよりますが台本がない状態で芝居をすると同じく映像に合わせていてもキャラクターに寄り添っている人と声優の人が話しているという違いが出てくるのです。
これは実際に聞いてみると実感できると思います。そしてこの違いは気づかない人もいたりするのです。なので、大幅に暗記しているから芝居が合わないなんてことはないのです。
一番わかりやすい例でいくと、国民的アニメ作品で比べてみましょう。
名探偵コナンは、映画のゲスト声優として俳優さん、女優さんなどがキャスティングされている以外は声優の人たちが作品の声を担当しています。
一方スタジオジブリ作品は声優ではない俳優さん女優さんのキャスティングがほとんどですよね。
この二つを聴き比べた時に声の当て方の違いに気がつけると思います。同じく芝居をしている、アフレコをしているということだけ取れば一緒なのに違いを感じることができると思います。
もちろんどちらも求められている芝居が違うのでこういう差異が生まれてきているのです。実際今声優業界では俳優さん、女優さんができる芝居を声優も役者なんだからできるのが当たり前になりつつありますが、まだ全て声優の人がキャスティングされていないのは声優の昔からの芝居のイメージが強いのがあるのでしょう。
しかし、声をあてるプロである声優の人の声の表現は、やはり俳優の人、女優の人にはまだ出せないところがたくさんあるのです。
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③生きた会話が求められている
舞台も完成度が高く物語に引き込まれますが、声優はイベントなどでも朗読のシーンでアドリブ祭りを繰り広げることが多いです。舞台上でのアドリブは芝居とアドリブで話すときで差が生まれることがありますが、声優は役で話していてもアドリブで話していても変わらない人が多いです。
こういうところで生きた会話の仕方を求められているのです。アドリブをしている時と芝居をしている時が変わらないくらいにリアルに話をして共演の人と一緒に作品を盛り上げる声優の人はそれを求められています。
台本は覚えていてもタイミングの確認や台詞の確認などいろんなことの支えになっています。キャラクターたちをベースにそこに命を吹き込んでいく意識を大事にしながら芝居を今後も作り上げてください。
まとめ
最後に台本の暗記は悪いことではありません。やり方はそれぞれですが声優の業界で求められている芝居というのは今まで築き上げてきた先輩たちがやってきた芝居であることなのです。
舞台の芝居が悪いわけではありません、求められている芝居の仕方がそれぞれで違うのです。
この表現の違いを理解してキャラクターが魅力的に生きられる芝居をぜひ突き詰めてください。
この記事がお役に立てば幸いです。
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