はじめに
声優養成所に入ると、声優になるために様々なレッスンを受けますよね。
発声、滑舌、台本読みなどなど、、
今回は、そんな声優養成所で必ずと言っていいほど行われるレッスンの中から
「エチュード」について筆者の体験談を踏まえてお話ししようと思います。
エチュードとは
エチュードとは即興劇のことです。簡単な設定(登場人物の関係性、場面など)のみ決められており、
演者同士でその場で劇をつくりあげていきます。
たとえば、
【登場人物】
・A:Bと付き合っているが、浮気をしている
・B:Aの彼女
・C:Aの浮気相手
【場面】
AとCのデート現場をBが目撃、浮気がバレる
のような、いくつかの情報をもとに演技をします。
ーそもそもエチュードって声優に必要なの?
こんな疑問を持つ方もいるのではないでしょうか?なぜ声優なのに舞台のようなことをするのか、
台本をうまく読めればいいのではないか、、、
考えだすときりがないですが、結論から言えば声優になるためにはエチュードをこなせる力はあった方が良いです。
まず、なぜ舞台のようなことを、と思っている方、舞台のように全身をつかって演技をする場合にはなんでもないことが、
体をつかわずに声だけで演技する場合には「難しい」こともあるのです。
重い荷物を持ち上げる時に、実際に動作が伴っていれば「よいしょ」と自然に言うことができても、
声だけとなると不自然になってしまったりします。俳優、声優と言い分けられますが、
声優は「実際には何もしていなくてもリアリティのある演技ができる」ものすごく演技の上手い演者なのです。
ですから、まずは感覚をつかむためにも体をつかった演技がレッスンでは求められることが多いです。
台本をうまく読めればいいのでは、という疑問に関しては、本当にうまく読めれば問題はないでしょう。
しかし、瞬時に様々な要求に応えなければならないプロの現場では、自分が用意していったものが否定されて
「もっとこうして」と指示を受けることは日常茶飯事です。そんな時に求められるのが瞬発力ですね。
瞬時に要求を理解して実演できるだけの想像力の豊かさ、表現の引き出しの多さなど、必要なスキルは多岐に渡ります。
エチュードをたくさんすればこれらが身につく、というわけではありませんが、どんな設定でも演じられるように日頃から
アンテナを張り、エチュードなどのレッスンでそれらをアウトプットすることで、瞬発力が鍛えられるのです。
■注意すべき3つのポイント
さて、本題にもどりましょう。
実際にエチュードをする際に、特にはじめのうちは気をつけなければならない点が3つあります。
それが、以下の3つです。
・ためらわないこと
・会話をすること
・構成を意識すること
ためらわないことについては、そんなこと!?と思うかもしれませんが、非常に大切なことです。
演技を学び始めて間もないうちに人前でエチュードをするとなると、相当緊張するのではないでしょうか。
そんな中だと、思うように体が動かなかったり、言葉をなかなか発せない、なんてこともあるでしょう。
貴重なレッスンの時間を、何もできずに終えてしまった、、そんな風にならないようにどうすればいいか。
とにかくためらわないことです。失敗するかもしれない、みんなに笑われるかもしれない、そう思っているうちは
ずっと前には進めません。失敗をしてそこから学ぶ方が得るものは多いですし、真剣に取り組む人を笑うような人を
相手にする必要も気にする必要もないのです。
つぎに、会話をすること。これもいたって普通のことのようですが、実際に演技の中で会話をするのはとても難しいことです。
講師の方からの「会話になっていない」「相手の言葉を聞いていない」という指摘を幾度となく目にしてきました。
エチュードには台本がない分、相手の言葉が予想できないので、一見会話はしやすいように見えますが、
「なにか話さなきゃ」「アピールしなきゃ」という思考は視野を狭めてとんちんかんな言葉を出させたりするもの。
先ほど述べた「ためらわない」ことは重要ですが、しっかりと周りの状況を把握しながらでないといけません。
そして最後に、構成を意識すること。限られた時間の中で、なにも展開を考えずにエチュードをしてしまえば、
グダグダになってしまうのは目に見えていますよね。しかし、はじめから頭の中で構成を組み立ててそのとおりに進めるのは至難の技ですし、
決めすぎてしまっても身動きが取れなくなってしまいます。ですので、「ここでこうなったら面白いかもしれない」
「相手は今この反応を求めているのかもしれない」そういった感覚に敏感になっておくとよいでしょう。
つまり、自分の外側だけでなく、自分の内側にもずっとアンテナを張っているとよい、ということです。
■最後に
いかがでしたか?今回は「エチュード」についてお話ししました。
文字で見るとすごく難しく感じますが、実際にやってみないことには何もわかりません。
様々なレッスンを経てちからをつけたその先に、デビューが待っているはずです。ぜひ頑張ってください!
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